咀嚼と健康 脳の発達・活性化


昔から「寝る子は育つ」と言われていますが、「かむ子も育つ」ことをご存知でしょうか。今回は咀嚼と脳の発達、活性化についてお話したいと思います。

噛むことで得られる脳への変化

食べ物を口に入れてよく噛むと、咀嚼筋が活発に動くことで脳への血流が良くなり、あらゆる部位の脳細胞が活性化されます。噛むことで活性化される脳の部位の一つが「海馬」です。「海馬」は“記憶の司令塔”と呼ばれていて、知覚・記憶・学習・思考・判断など認知機能全般を司る重要な部分です。近年の傾向として食べ物が柔らかくなり、子どもの咀嚼が減り、顎の骨と咀嚼筋の発達が遅れることで、学習能力に悪い影響を与えているというケースもあります。また、高齢者が歯を失い、咀嚼数が減ると、認知症のリスクが高まるという報告もあります。
マウスに離乳期から成長期にかけて粉末のエサを与え、顎の骨と咀嚼筋の発達が不十分なグループと固形のエサを与え、顎の骨と咀嚼筋がよく発達したグループを作り、記憶と学習能力のテストを行ったところ、固形食マウスの方がよい成績になりました。テスト終了後、両マウスの海馬の神経組織を分析したところ、固形食マウスの方が海馬がよく発達していたことがわかりました。
また、しっかりと噛むことでコミュニケーション、感情の抑制、記憶のコントロール、意思決定などの働きを担う前頭前野も活性化されます。高齢者にとってはこの前頭前野の活性化が認知力の向上につながると言われています。

対処法

近年では柔らかな食べ物が多く出回っていますが、お子さんには咀嚼が必要な食べ物を積極的に与えましょう。また、高齢になっても噛むことができるように、小さな頃から健康な口内環境を維持することも大切です。残念なことに加齢によって義歯になった場合も、咀嚼をしっかりすることで認知症予防を期待することができます。

まとめ

脳の発達、活性化を促すために、咀嚼を多くするように促しましょう。