咀嚼と健康 言葉の明瞭化


咀嚼することと、言葉の発音をはっきりさせることに密接な関係があることをご存知でしょうか。

噛むことで得られる言語(発音)の変化

言葉の明瞭化に咀嚼が関わっていることは、これから言葉を覚える幼児や、今後心身の機能が衰えてくる高齢者にとってとても重要な関係性です。「よく噛んで、味わって食べる」ことは幼児、高齢者だけでなく、全世代にとってとても大切ですが、幼児において「かまない」、「かめない」など摂食行動に問題のあるお子さんと問題のないお子さんとを比較すると、問題のあるお子さんが発音・言葉が不明瞭である割合が高いことが報告されています。話すことは“構音機能”というヒト特有の話し言葉の音声を産生する機能が関わっていて、上あご、下あご、舌、唇を動かすことで音声となりますが、これらを動かすには筋肉が必要となります。咀嚼することで顔面全域の筋肉が鍛えられ発達し、また口腔内も正常に発達します。
また、高齢者については言葉をはっきりと喋るためには、上あご、下あご、舌、唇の筋肉を適切に維持をすることが求められます。近年では「オーラルフレイル」という言葉も多用されるようになりましたが、“オーラルは口”、“フレイルは虚弱”という意味です。すなわちオーラルフレイルとは、加齢による衰えの一つで、食物を噛んだり飲み込んだりする機能が低下したり、滑舌が悪くなったりするなど、口腔機能の虚弱化を指します。

対処法

お子さんの場合は食事の時にどれくらいお子さんが咀嚼しているか、数えてみましょう。理想はひと口で30回です。また、食事中お子さんに「早く食べなさい」などと言わないようにしましょう。
高齢者の方も食事をする際、よく噛んで食べるように促しましょう。また、食べにくいからといって柔らかいものばかり食べていると、咀嚼機能が低下してしまうので、気をつけましょう。

まとめ

言葉をはっきりと喋るためにも食事をする時はよく噛んで味わって食べることを習慣づけましょう。

咀嚼と健康 脳の発達・活性化


昔から「寝る子は育つ」と言われていますが、「かむ子も育つ」ことをご存知でしょうか。今回は咀嚼と脳の発達、活性化についてお話したいと思います。

噛むことで得られる脳への変化

食べ物を口に入れてよく噛むと、咀嚼筋が活発に動くことで脳への血流が良くなり、あらゆる部位の脳細胞が活性化されます。噛むことで活性化される脳の部位の一つが「海馬」です。「海馬」は“記憶の司令塔”と呼ばれていて、知覚・記憶・学習・思考・判断など認知機能全般を司る重要な部分です。近年の傾向として食べ物が柔らかくなり、子どもの咀嚼が減り、顎の骨と咀嚼筋の発達が遅れることで、学習能力に悪い影響を与えているというケースもあります。また、高齢者が歯を失い、咀嚼数が減ると、認知症のリスクが高まるという報告もあります。
マウスに離乳期から成長期にかけて粉末のエサを与え、顎の骨と咀嚼筋の発達が不十分なグループと固形のエサを与え、顎の骨と咀嚼筋がよく発達したグループを作り、記憶と学習能力のテストを行ったところ、固形食マウスの方がよい成績になりました。テスト終了後、両マウスの海馬の神経組織を分析したところ、固形食マウスの方が海馬がよく発達していたことがわかりました。
また、しっかりと噛むことでコミュニケーション、感情の抑制、記憶のコントロール、意思決定などの働きを担う前頭前野も活性化されます。高齢者にとってはこの前頭前野の活性化が認知力の向上につながると言われています。

対処法

近年では柔らかな食べ物が多く出回っていますが、お子さんには咀嚼が必要な食べ物を積極的に与えましょう。また、高齢になっても噛むことができるように、小さな頃から健康な口内環境を維持することも大切です。残念なことに加齢によって義歯になった場合も、咀嚼をしっかりすることで認知症予防を期待することができます。

まとめ

脳の発達、活性化を促すために、咀嚼を多くするように促しましょう。

口臭の種類 - 心理的口臭


口臭があると思い込んでしまう「心理的口臭」。今回はその原因や特徴、対処法について説明します。

心理的作用による口臭の原因・特徴

「心理的口臭」とは現実には口臭がないのに、自分で「口臭がある」と思い込んでしまうものです。他にも「自臭症」、「自己臭症」、「自己臭恐怖症」と呼ばれることもあります。
口臭を気にするあまり、1日に何度も歯磨きをしたり、口臭ケアのグッズやタブレットなどを多用してしまいます。心理的口臭はほとんどの場合、自分が経験したトラウマや精神的なストレスが原因となっているようです。例えば、過去に他の人から口臭を指摘されたことで、自分の口臭が周りに迷惑をかけていると思い込んでしまう人もいます。具体的には会話の途中で相手が顔をそむけたり、鼻や口元に手を当てた時、その仕草が自分の口臭のせいで行われたと思い込みます。
また、心理的口臭に潜む弊害としてあげられるのが、最初は心理的口臭で実際には口臭がなかったのに関わらず、神経質になり、ストレスから唾液の分泌量が減ってしまうことで、本来なかった口臭が本当に出てきてしまうことです。

心理的口臭の対処法

まずは「自分には口臭がない」と自分自身が認識しなければいけません。しかし自分ではその判断が難しいので、歯科医院など病院を受診することが望ましいです。口臭がないことを医師に説明され、納得できればよいのですが、それでも「自分には口臭がある」と思い込んでしまうような場合は、心療内科や精神科との連携が行われることもあります。
心理的口臭の治療は様々な方法がありますが、心理的なアプローチのほか、薬物療法を取り入れる場合もあります。心理的口臭の治療には、病院と患者さんとの信頼関係を築いたうえで治療を進めることがとても重要です。そのため、普段から信頼できる歯科医院を見つけておくとよいでしょう。

まとめ

自分や家族に心理的口臭の特徴などがみられたら、抱え込まずに、医師へ相談してみましょう。

口臭の種類 - ストレスによる口臭


今回は口臭の原因の4つめ、「ストレスによる口臭」についてお話ししたいと思います。

ストレスによる口臭の原因・特徴

ストレスと口臭は一見、結び付かないように思うかもしれませんが、ストレスが溜まると口臭が悪化すると言われています。そして以前にも述べましたが、口臭は唾液の分泌と深い関係性があります。唾液には様々な働きがありますが、歯や粘膜の汚れを洗い流し、口の中を清潔に保つ働きがあります。ですから唾液が十分に分泌されていれば、口臭のリスクを減らすことができます。しかし、ストレスを感じると特殊な物質が放出され、唾液の分泌が少なくなり、サラサラした唾液ではなく、ネバネバした唾液になります。
また、ストレスや疲れが蓄積すると、肝臓、胃や腸の働きが悪くなります。肝臓の働きが弱くなるとアンモニアの分解する力が低下するため、アンモニア臭がすることがあります。さらに胃や腸の働きが悪くなると消化能力も落ちるため、腐敗臭が発生することもあります。

対処法

ストレスによる口臭が気になるとき、まず一番気を付けたいのが「規則正しい生活をする」ことです。特に睡眠時間を十分にとるよう心がけましょう。睡眠不足の状態だと自律神経のバランスが乱れて、交感神経が優位になり、唾液の分泌が抑制されてしまいます。
また、バランスのよい食事をとることも大切です。特に野菜やこんにゃくや海藻類など食物繊維を多く含む食品を食べるようにするとよいでしょう。食物繊維を多く含む食品は腸内でゆっくり進むので、副交感神経が優位にたつ時間が長く保たれます。
さらに、不安や緊張をしていると感じた時、自分でストレスを抱えていると気づいた時には、積極的に水を飲むとよいでしょう。
そして、ストレスが発散できるように、趣味を楽しんだり、リラックスする時間を作ったりすることも大切です。

まとめ

現代人は多少なりともストレスを抱えているものです。日頃から規則正しい生活を心がけ、リラックスタイムを取るようにしましょう。

口臭の種類 - 病的な口臭

口臭の原因の3つめは病的口臭です。病的口臭とは簡単に説明すると体の様々な場所に起こる病気が原因で発生する口臭のことです。

病的な口臭の原因と特徴

病的口臭には大きく分けて2つ、口腔内のトラブルが原因となる「口腔由来」と体全身の病気が原因となる「全身由来」があります。

  • 口腔由来の病的口臭
    病的口臭のうち実に90%以上が口腔由来と言われています。虫歯が進行した場合も口臭の原因となることがありますし、他にも歯周病や歯垢、歯石、舌苔やドライマウスも口臭を引き起こす可能性があります。また、虫歯を治療した際の被せものがはずれている場合やサイズが合っていない場合、口内の清掃不良なども原因となります。
  • 全身由来の病的口臭
    病的口臭は口の中の病気だけが原因とは限りません。口腔以外の鼻や喉、呼吸器系、消化器系や肝臓の病気、糖尿病、尿毒症などが原因で口臭が起こることがあります。具体的には呼吸器系は気管支炎や気管支拡張症、肺脳腫など、鼻の病気では慢性鼻炎や蓄膿症(副鼻腔炎)、喉の病気では扁桃腺、消化器系では胃潰瘍、胃がん、慢性胃拡張、胃炎、肝臓の病気では肝硬変や肝炎などの病気があげられます。

対処法

口腔由来の場合は、虫歯の治療はもちろんのこと、口の中のトラブルを未然に防ぐために日頃からケアを怠らず、清潔を保つことが重要です。また、口内の健康を維持するために歯科医院に定期的に検診に訪れることも大切です。
病的由来については病気の症状の1つとして口臭が発生しているので、原因の根本となっている病気の治療を行う必要があります。

まとめ

口腔由来も全身由来も口臭を改善するためには、それぞれの病気を治療することが大前提となります。
また、病的口臭のほとんどが口腔由来となるので、虫歯や歯周病をはじめとする口内の病気をしっかりと治療する、もしくは日々のケアで予防することが口臭を改善する対策となります。