咬み合わせ(噛み合わせ、咬合)について

咬み合わせ(噛み合わせ、咬合)とは

人間は下あごを複数の筋肉を弛緩・収縮して動かし、上あごにつけることで「かむ」動作を繰り返して食べます。あごの関節(顎関節)を中心とした歯・筋肉・中枢神経系の連携による一連の動きを「咬合(こうごう)」といい、それらの状態を「咬み合わせ(噛み合わせ)」と呼びます。つまり、咬合の際にそれらの連携に少しでも異常がみられると「咬み合わせ」に影響が生じ、やがて身体の不調へとつながるという悪循環を引き起こします。

しかし、日本人は生まれつき下あごが小さい傾向にあるといわれ、そのため歯が正しい位置に生えず、咬み合わせがうまくいかない人が多いといわれています。身体のあちこちに異変を感じたり辛い思いをしたりしているのは、実は「咬み合わせの悪さ」が原因だった——などということは十分あり得ます。

定期的な歯科検診や正しい治療が必要なのは、このような側面からもご理解いただけると思います。

正常な咬合とは

ではいったい、正しい咬み合わせというのはどのような状態を指すのでしょうか。上あごの歯1本に対して、下あごの2本がかみ合っている(1歯対2歯咬合)のが理想的と言われています。

ご自身の歯をよく観察して、あまりにもずれていたり、日常生活に支障がでるようであれば、歯科医院への受診をお勧めします。

不正咬合とは

咬み合わせが悪い、いわゆる不正咬合にはさまざまな種類があります。主なものは以下の状態です。

  • 叢生(そうせい)
    あごに歯が並んで入りきらないため、前後に生えてしまう状態(位置異常)
  • 反対咬合
    前歯が反対に咬んでいる状態
  • 過蓋咬合(かがいこうごう)
    下の前歯が隠れて見えないぐらい、前歯の咬み合わせが深い状態
  • 切端咬合(せったんこうごう)
    上下の前歯の先端がちょうどぶつかってしまっている状態
  • 開咬(かいこう)
    奥歯で咬んでも何本かの前歯は噛まない状態
  • 上顎前突(じょうがくぜんとつ)
    上の前歯が出ている状態(いわゆる「出っ歯」)

これらの原因は、歯の周囲の筋肉や舌の力のバランスが崩れることによって起こる「歯列弓形態の異常」や上下の顎の発育のアンバランスによる「咬合の異常」といわれています。

年齢や状態によって治療の有無は分かれますが、治療が必要な場合は詳細な検査をおこない、不正咬合に至った成り立ちを調べることから始まります。

大人と子どもで異なるかみ合わせ

発達途中、特に前歯が生え変わる時期の子どもの歯並びは、大人の歯並びとはかなり違います。

これは、上あごの骨の中に永久歯が埋まっていたり、乳歯を押しのけて生えてくる永久歯があったりするためで、一見すき間だらけで咬み合わせがうまくいっていないような状態でも、成長とともに変化する可能性は大いにあります。

しかしそれでも心配な点が見受けられるときは、歯科医院に相談しましょう。

永久歯が抜けたあと放っておくと

永久歯が何らかの原因で抜けてしまったにもかかわらず、そのまま放置しておくのは非常に危険です。

空いてしまった場所へ前後の歯がそれぞれ傾いていき、さらに上方(もしくは下方)で咬み合っていた歯も接触する場を失って位置がどんどんずれていきます。

その結果、全体的な咬み合わせがくるっていくきっかけを与えることになります。

悪習慣も影響する

幼児期の指しゃぶりをはじめとして、舌や唇の悪い癖でも咬み合わせが悪くなりますし、片側ばかりでの咀嚼や鼻閉、口呼吸など、いろいろな悪習慣も大いに影響を及ぼします。

また、成人が歯周病を放置しておくと、舌の圧力によって歯が前方に押し出され、すき間が空いて咬み合わせが悪くなることもあります。また、就寝時に無意識に起こる歯ぎしりや食いしばる力もあなどれません。

このようなさまざまな要因が、ひいては咬み合わせの異常につながっていきます。

咬み合わせが悪くなると

咬み合わせが悪くなると、上下の歯において本来接触すべき部分が減少してしまうので、咀嚼の効率が悪くなります。また、接触のある歯だけに咬む力が集中してしまうことになるので、偏りが発生します。

さらにその部分に歯の支えが弱くなる要因がある場合、その特定の歯によけいな負担がかかることで、歯槽骨が溶けて歯周病菌が棲みだす——といった問題も発生します。

また、前歯の咬み合わせが悪くなると発音がしにくくなったり、話す時に唾が飛んだり、唇が閉じにくくなったり、口が渇いたり、見た目も悪くなったりと、不都合がたくさん生じますので特に注意が必要です。

たとえ抜けた歯が前から見えにくいところだったり、1本だけだったとしても決して放置することなく、早めに最寄りの歯科医院を受診し、矯正やインプラントを含めた治療方法を提案してもらうことをお勧めします。

まとめ

歯は口の中の条件によって位置がかわってしまうため、さまざまな要因により咬み合わせも変化します。

咬み合わせの位置を正すことは、単に咀嚼機能の改善・向上だけではなく、脳内の血液循環を活発にして、脳細胞すべてに栄養を行き届かせ、結果的には全身の器官に良い影響を与えるといった大切な働きをキープすることにもつながります。

見た目だけではなく健康にとっても大変重要な要素ですので、日頃からのこまめなメンテナンスをぜひ心がけたいものです。

もしも歯が抜けたら・・すぐ歯科医院へ!

歯が抜けたままで良いことは1つもない

虫歯や歯周病が進行したり、事故で歯が根元から折れるなどして、歯が抜けてしまう、または抜歯せざるを得ないことがあります。「今回抜けたのは目立たない場所だから」「歯が1本くらいなくても大丈夫そうだから」などと考えて歯が抜けたままにしておくと、時間が経つとともに様々な悪影響が出てきます。たとえ1本でも、歯が抜けた後放置しておいて良いことは1つもありません。歯科医と相談の上、必ず何らかの処置を施しましょう。

抜歯後の治療には、ブリッジ、義歯、インプラント等、複数の方法があります。 ご自身に合う治療法を、歯科医師と相談して選んでいきましょう。

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歯が抜けたままにしておくと・・周囲の歯が動き、様々な支障が発生

両隣の歯が倒れてくる

歯を抜いたまま・歯が抜けたままで放置しておくと、隣の歯が倒れてきます。

歯は空いている場所に動く性質があるので、歯が抜けた後の空間に隣の歯が倒れてくることになります。

長期間抜けたままにしておくと、もう1つ隣の歯も傾いていきます。

噛み合っていた向い合う歯が伸びてくる

抜けた歯と咬み合っていた歯が、噛み合わせの相手がなくなってしまうと、歯が抜けて空いたスペースに伸びてきます。

噛み合わせが悪くなり、様々な悪影響

抜けた歯の周囲の歯が動くことで、正しい噛み合わせが失われ、噛み合わせが狂います。失った歯の本数が多いほど、噛みやすい場所で噛むようになり、噛み合わせのバランスはますます悪くなっていきます。

噛みやすい場所でばかり噛み続けると、筋肉の付き方も変わり、顔の形も変わっていきます。

また、残った歯により負担がかかることで、残った歯の寿命が縮んでいきます。

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食べ物をきちんと噛めなくなる

歯が抜けて食べ物をきちんと噛めなくなると、十分に咀嚼することができなくなり、胃や腸などの消化器官に負担が掛かるようになります。また、十分に噛めないことで唾液の分泌が不足し、消化不良の原因にもなります。

発音障害

噛み合わせの変化や、歯が抜けた部分から息が漏れるといった口腔内の変化で、発音しづらくなる・上手に発音できなくなる、などの影響が出ます。

噛み合わせの悪さは、肩こりや頭痛の原因にも

噛み合わせが悪いことは、顎関節症やあごの関節の不調・痛みの原因となることがあります。

さらに、肩こり・頭痛・耳鳴りといった、身体の様々な不調が出てくる可能性もあります。

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虫歯、歯周病になりやすくなる

歯が移動することで、歯と歯の間の隙間が広がり、食べ物がその隙間に詰まりやすくなります。そのため、歯が汚れやすくプラーク(虫歯や歯周病の原因となる細菌のかたまり)がたまりやすくなって、構内環境が虫歯や歯周病になりやすい状態になります。

顔の変化

歯が抜けた後放置しておくと、歯肉が痩せていきます。そのため、頬がこけてみえるようになる、顎がたるんで見えるようになる、といった顔の見た目も変化していきます。

歯が少なくなると、認知症になりやすくなる!?

歯は、食べ物を噛む時にだけ必要なものではありません。食べ物を咀嚼するとき、歯と歯を噛み合わせた時の刺激は脳に伝わり、脳の感覚や記憶、思考、意欲等を司る部分を活性化しています。

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歯が無くなると脳が刺激されなくなり、脳の働きに影響を与えるということが現在分かっており、残っている歯の数が20本以上ある人に対して、歯がなく入れ歯も入れていない人が認知症になるリスクは1.9倍、よく噛んで食べられる人に対して、あまり噛めない人が認知症になるリスクは、1.5倍と、歯があるかないか、また歯が抜けた後に適切に処置しているかいないかで、認知症を発症するリスクが異なるという調査結果もあります。

歯が抜けた後、歯に替わる入れ歯を使ったり、インプラント治療などによって認知症の発症リスクは下げられるとのこと。

歯が抜けたら放置せず、必ず何らかの処置をしましょう。

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